あるいは既にアラサーなのか

 立ち飲み屋に行くとまだ若いなと言われる。それはそうだろう。若くて立ち飲みに来る人間というのはふらっと一人でくるような人間でなくて数人で来て騒ぎたい人達のはずである。決して周囲の適当なおじさんやおばさんと絡んでいる変人のことではない。

 とかいうツイートで流行っていたどうでも良いコピペはさておき、立ち飲み屋独特の文化である、常連と会えるかもしれないし会わないかもしれない、そんな薄い人間関係の中にいることがとても居心地が良く楽である。こちらには相手との距離を取れる必殺カードの医学生という身分がある。大体そういう風に名乗ると、向こうはそこに興味を持って話を聞いてきたり、あるいは話をしてきたりする。

 ただこういう人間関係って多分今作るべき関係でもない気がする。ずっと居心地の良い人間関係のみを追求した結果、この二十年強で本当にごく少数の人間としかある程度話したという記憶がない。相手は大体寛容であり、広く受け入れられやすい人間であった。まあそういう人間の傘下にいることがこの手の人間が最も安全に生きる手段でもある。

 結局こういう関係に頼るというのはおそらく社会人になってからで良いのである。社会人という仕事以外では人と関わる機会が極端に減ってしまうようなそんな時に飲みに行けば良い場所なのだと思う。立ち飲みに興味がある、という人は同年代にも多いけれどここは入るのは難しく、出るのは難しいぬるま湯なのである。

 

それでも立ち飲みで飲む たかたか。