たかたかワクチン。

    世の中にはワクチンに親でも殺されたかのようにワクチンを嫌う種の人間というのがいる。

 代表的なのはヒトパピローマウイルスで、反ワクチン派の巧妙な宣伝により現代科学では有意性のない理論であるにも関わらず、日本でこのワクチンを打つ人や或いは子供に打たせる親というのは未だに限りなく少ない。

 ここには心理学的トリックがある。ヒトパピローマウイルスに感染しなければ特にこのワクチンにお世話にならなくても問題ない。だから何もしないという思考があるわけである。これは消極的な選択である。一方でワクチンを打つ、というのは例えそれがどんなにリスクが低いものであったとしても、積極的な選択をすることになる。こうした場合、積極的な選択にリスクがあると考えると人間は、そちらを選択することは本能的にあまりしないのである。つまり何もせずに状況を傍観する形になる。

 しかもリスクへの意識付けというのは事例が一つあれば良い。ヒトパピローマウイルスのワクチンを打って不幸になった人が一人出てくるだけで効果というのは絶大なのである。どれだけ科学的根拠を並べても小難しい話なんか、その辺の一般人が理解できるはずもない。大学進学率が上がった現在ですら、一世代に理系大学に進むのは全体の四分の一くらいでしかない。

 そもそもよくわからんおっさんが説明するよりも適当にアイドルかそこら辺の俳優にでも頼んでヒトパピローマウイルスワクチン打ちましたとかSNSでやってもらう方が遥かに宣伝としては効率が良い。ファンは盲目なのでグッズにワクチンを入れておけばなんの疑いも無く買うであろう。なんなら握手会ついでに注射もすれば良いがこれは流石にまずいだろうか。

 

先天性ヒトやる気不全ウイルス たかたか。