交渉は楽勝で暗礁

 弁論術や或いは交渉術、なんていうスキルが存在する。人間というのは日常的にこれを使っている。例えば、大学生であれば、試験資料やレポート資料をもらうためにこの交渉が重要になる。相手と自分の要求をすり合わせていくことで最後にお互いに欲しい情報を交換できる。

 しかし人の世の中とは合理的な世の中ではない。必ず感情というバイアスが入ってくる。例えばある時道で話しかけられて、100円をもらったとする。この時点で100円をもらえたという幸福に人は包まれるが、100円をくれた人が次の人に千円札を渡しているのをみれば途端幸福感というのは減衰する。同じ100円でも価値が変わってくるわけである。逆に千円をもらった人は前の人には100円しか渡していなかったのをみれば大いに満足感が湧いてくるわけである。

 こういうバイアスをうまく利用して相手を感情的に得をさせるというのはポジティブな議論で大事である。

 さて当然交渉には圧殺して勝つという勝ち方がある。この方法は勝てばほぼ全ての意見を通すことができる。例えば合唱コンクールで真面目に歌わない男子児童たちに対して、女子の、ちょっと男子〜、という言い方は効果的である。これにより女子全体をバックにした主張と、合唱コンクールはクラスで団結すべきであるという逆らいにくい常識の両方に頼ることができ、やはりこの議論に勝つことができる。

 キャバクラでもキャバ嬢はただ誕生日プレゼントをもらおうとしてもらえるのではない。この子に男としての度量を見せたいというプライドをくすぐったり、好きになってくれるかも、という期待感を抱かせるのが重要な部分である。または圧殺して勝つならプレゼントくれないならもう別にいいかな〜と迫っていくこともできる。

 ところでこの手法が大学生活でよく使われるのは何を隠そう、新歓である。新歓がうまい先輩というのは相手の気持ちであったり情にアプローチしたりするのがうまい。しっかり時間をかけて勧誘したり、逆に、入部締め切りを設けたりしてうまく一回生を入れるわけである。是非とも一回生諸君は気を付けるべき、逆に二回生以上は身につけるべきスキルである。なお理論説明はできても実践というのはいつも難しい。

 

机上のブログ弁論家 たかたか。