ひろゆきの作った社会

 掲示板という概念ができたのは間違いなくこのおっさんのおかげである。匿名でいろいろな話ができる、これほど素晴らしいことはない。今はTwitterという分野が発展してしまったがかつては2chというのは一世を風靡した分野である。

 日本でTwitterが流行った理由は掲示板があったからだと思う。実名以外のアカウント、趣味のアカウントが作れ、何でも話せるからこそ人気になった。かつての2chのように会話形式である必要や板が立つ必要もなく手軽に思ったことを言える文化がTwitterにはある。インターネットを使うようになって最初に知った界隈は保守界隈であった。元々日本史が好きだったが最も好きだったのは昭和史であり、ここは政治性が高い場所だった。そこまで言って委員会どころではなく過激な言葉が羅列されていた気もする。

 そういう板から今度はなんJという分野に移っていった。きっかけは保守版からおすすめのリンクでなんJ系列に飛び、野球観戦が好きだったのでその界隈に入り込むには時間がかからなかった。

 その後も色々な掲示板を見た。あるいはまとめサイトを見てきた。本当にロクでも無い場所だけれど面白い場所でもある。TwitterにせよSNSというのはアカウントが表示されて会話するため、IDしか出ない板と比べて議論のしづらい環境である。思ったことを口に出す場所と言っても良いかもしれない。

 最近のSNSというのはどれも視覚的である。InstagramにせよTikTokにせよ怪しい商材系のアカウント以外にはたくさん文章が書かれているということもなく、議論が白熱するにつれ論点がズレるなんてこともない。

 かつての2chは言葉尻を取って相手を中傷したりちゃんと板を立てた人の補足情報を読まずに批判する人がいたりと確かにとんでもない界隈だった。かと言って今のSNSのように写真や映像の視聴を極端に重視するということはなかった。世の中のせっかちさというか短絡さが進んだというか、2chの時は貼ってある文章すら読まずに批判する人だったが今はタイトルすら読む必要はなくなって一つの写真や映像といった刺激に反射して動いている。

 なんというかこの国はかつては匿名なら議論できていたものが匿名ですら議論できなくなったというかマナーの消失は勿論、そもそも人と意見を交わすという文化が消え始めている気がしなくもない。

 

トップダウン方式の大学所属の たかたか。